エクソソームとは?点滴・注射の美容・医療での効果やデメリット・料金相場も解説
2025-11-19
エクソソームは、再生医療や美容医療の分野で注目されており、芸能人やSNSでの感想、口コミでも話題です。
本記事では、エクソソームとは何か、エクソソーム点滴・注射の違い、美容や再生医療の効果のほか、副作用やリスク等のデメリットについて解説します。
また、料金相場や信頼できる病院の選び方、エクソソームについてのよくある質問にも回答しているので、参考にしてください。
エクソソームとは?美容や再生医療で注目される理由
エクソソームは1980年代に発見された物質で、当初はその働きがよくわかっていませんでしたが、2007年にエクソソームの中に細胞間で情報を受け渡している「マイクロRNA」という重要な物質が含まれていることがわかり、世界中で研究が加速しました。
近年では、エクソソーム点滴や注射での治療が注目されており、美容面では肌のエイジングケアや薄毛治療、健康面では組織の修復などへの効果が期待されています。
ここでは、エクソソームの働きや役割、そして幹細胞・幹細胞培養上清液との違いについて解説します。
エクソソームの働きと役割を解説
エクソソームとは、私たちの体の細胞が放出する、直径50〜150ナノメートル程度のカプセル状の物質です。この小さなカプセルは脂質の膜で覆われており、内部にはたんぱく質、核酸(DNA・マイクロRNA・メッセンジャーRNA等)・成長因子、酵素といった細胞の働きを活性化したり、組織の修復を促したりする生理活性物質が詰まっています。
エクソソームは血液やリンパ液を通じて体内を移動し、細胞同士で情報を伝える「メッセンジャー」のような役割を果たしています。私たちの体の中では、毎日たくさんの細胞がエクソソームを作り出し、隣の細胞や離れた場所に「炎症を抑えてほしい」「組織を修復してほしい」といった、さまざまなメッセージを送っています。
エクソソームに含まれる成分でとくに注目されている物質がマイクロRNAと成長因子の2つで、以下のような働きがあります。
遺伝子情報を持ち、細胞間のコミュニケーションに使われます。血液中のマイクロRNAを調べることで、がんの早期発見に役立てる研究も進められています。
EGF(上皮細胞増殖因子)やFGF(線維芽細胞増殖因子)などが含まれ、細胞や組織の再生・修復を促す働きがあります。再生医療では傷ついた組織の治療に、美容医療では肌のエイジングケアやAGAの発毛を目的とした治療に用いられています。
このように、エクソソームに含まれる成分は、それぞれ異なる役割を持っており、体の修復や再生に関わっています。これらの働きを利用するため、医療現場ではエクソソームを点滴や注射で体内に取り入れる治療が行われています。
細胞から放出されたエクソソームには、成長因子やマイクロRNAなどが含まれており、これらが別の細胞に取り込まれることで情報が伝達されます。
幹細胞・幹細胞培養上清液とエクソソームは何が違う?
幹細胞・幹細胞培養上清液・エクソソームという言葉は、美容医療や再生医療でよく耳にしますが、違いについてはわかりにくいかもしれません。これらは深い関係がありますが、それぞれ異なるものです。
幹細胞は、さまざまな細胞に分化する能力を持つ特別な細胞のことです。体内で組織の修復や再生に重要な役割を果たしており、この自己複製能力と多分化能を医療に応用する研究が進められています。
幹細胞培養上清液は、幹細胞を人工的に培養したときに得られる液体成分で、細胞そのものは含まれておらず、幹細胞が放出した成分だけで構成されています。
幹細胞培養上清液には、成長因子、サイトカイン、エクソソーム、アミノ酸、ビタミンなど、数百種類もの生理活性物質が豊富に含まれています。
エクソソームは幹細胞培養上清液の中に含まれる物質のひとつです。
エクソソーム治療では、幹細胞培養上清液を濃縮したものやエクソソームだけを抽出したものが使われています。
エクソソームを高濃度で抽出・濃縮することで、組織の修復や肌の再生、毛髪の成長促進など、より効果的な治療が期待できます。
クリニックによってエクソソームの濃度や製造方法、品質管理が異なるため、詳細はカウンセリング時に確認することが大切です。
エクソソームに種類はある?由来とは何?
エクソソームはすべて同じというわけではなく、種類があります。エクソソームは細胞が放出する物質なので、どの細胞から作られたかによって、含まれる成分が大きく変わります。この「どの細胞から作られたか」を表すのが「由来」という言葉です。
美容医療や再生医療で使われるエクソソームは、ヒトの幹細胞を培養して得られたもので、主に以下のような由来があります。
このように、由来によって含まれる成分や期待できる効果が異なります。実績のあるクリニックや病院では、患者の目的や症状に合わせて、適切な由来のエクソソームを選んで使用しています。治療を受ける際には、何由来のエクソソームを使用しているのか、クリニックの説明をしっかり聞いて確認しましょう。
エクソソーム点滴と注射の違いを比較
エクソソーム治療には、主に点滴と注射の2つの投与方法があります。どちらも同じエクソソームを使用しますが、体内への届け方や作用する範囲が異なります。
ここでは、エクソソーム点滴と注射の違いや、それぞれの特徴について解説します。
エクソソーム点滴とは?注射との作用・投与方法の違い
このように、点滴は全身に働きかける治療、注射は気になる部位に直接働きかける治療という違いがあります。それぞれの目的に合わせた選び方を次で詳しく見ていきましょう。
エクソソーム点滴と注射はどちらを選ぶ?目的別の選び方
エクソソーム点滴と注射は、それぞれ得意とする治療内容が異なります。自分の目的や悩みに合わせて適切な方法を選びましょう。
点滴と注射を組み合わせて、より効果的な治療を行うケースもあります。どちらが自分に合っているか迷う方は、クリニックでカウンセリングを受け、医師に相談してみましょう。
エクソソームの美容(肌・薄毛)効果を解説
エクソソーム治療が美容分野で注目されているのは、エクソソームに含まれる成長因子やマイクロRNAが細胞レベルで肌や毛髪の再生を促すためです。
ここでは、エクソソームの効果について解説します。
エクソソームは肌(毛穴・ニキビ跡・ハリ等)に効果が期待できる?
エクソソーム点滴や注射によって、体内に取り入れられたエクソソームが肌細胞に働きかけることで、さまざまな美容効果が期待できます。
エクソソームに含まれる成長因子は、真皮層の線維芽細胞を活性化させる作用があります。線維芽細胞が活性化するとコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を保つ成分の産生が促進され、肌のハリや弾力の向上が期待できるでしょう。加齢とともに失われやすいこれらの成分を補うことで、肌の若々しさを保つことにつながります。
肌のハリが向上することで毛穴周辺の皮膚が引き締まり、毛穴の目立ちにくい肌へと導く効果が期待できます。とくに加齢によるたるみ毛穴に悩む方にとって、エクソソームによる肌のハリ改善は有用なアプローチといえるでしょう。また、細胞の活性化により肌のターンオーバーが整うことで、毛穴の詰まりにくい健やかな肌環境を目指せます。
エクソソームは肌のターンオーバーを促進する働きがあるため、色素沈着によるニキビ跡の改善にも効果が期待できます。メラニンを含む古い角質が排出されやすくなることで、徐々に肌の色ムラが目立ちにくくなっていくでしょう。ただし、クレーター状のニキビ跡の場合は、複数回の治療が必要になることもあります。
エクソソームには、肌のバリア機能を整える働きや、水分保持力を高める効果も期待されています。肌の保湿力が向上することで、乾燥による小ジワが目立ちにくくなり、ふっくらとした肌へと導く効果が期待できるでしょう。
細胞レベルでの活性化により、肌の代謝が促進されると、古い角質が自然に剥がれ落ち、透明感のある明るい肌へと導かれます。また、血行促進作用により顔色が良くなる効果も期待できるため、くすみが気になる方にも向いているでしょう。
エクソソームのAGA・薄毛治療での発毛効果とは
エクソソームは薄毛やAGAの治療においても注目されており、多くのクリニックで頭皮への注射(注入治療)が行われています。薄毛が気になる生え際やつむじなどに直接注射することで、エクソソームに含まれる成長因子やマイクロRNAが毛髪の成長を促します。
エクソソームに含まれる成長因子は、毛髪を作り出す毛母細胞に直接働きかけ、細胞分裂を促進する作用があります。毛母細胞が活性化することで休止期にあった毛包が成長期へと移行しやすくなり、新しい毛髪の生成が促されるでしょう。
エクソソームには血管新生を促す成長因子が含まれており、頭皮の血流を改善する働きがあります。血行が促進されることで毛根に必要な栄養や酸素が十分に届き、毛髪の成長環境が整います。
AGAでは、ヘアサイクルの成長期が短くなり、毛髪が十分に成長する前に抜けてしまいます。エクソソームは乱れたヘアサイクルを正常に近づけることで、太く長い毛髪へと育てる効果が期待できます。
エクソソーム治療を継続することで、細く弱々しかった毛髪が徐々に太く強くなる効果も期待できます。毛髪1本1本がしっかりとすることで、全体的なボリュームアップにつながり、薄毛が目立ちにくくなるでしょう。
エクソソームには抗炎症作用もあるため、頭皮の炎症を抑え、健やかな頭皮環境へと導く効果が期待できます。
エクソソームによる薄毛・AGA治療は、気になる部位に集中的にアプローチできますが、AGAの進行度や毛包の状態によって効果の現れ方には個人差があることは理解しておきましょう。
エクソソーム治療の効果はいつから?実感するまでの期間の目安
エクソソーム治療は比較的新しい治療法で、投与方法や回数によって効果の現れ方に差があるため、効果を実感する時期には個人差があります。ただし、複数の医療機関の情報をまとめると、以下のような傾向が見られます。
クリニックで取り扱うエクソソームの種類や治療法によっても効果の現れ方が異なるだけでなく、効果には個人差があるため、ご自身の目的や症状に合わせて、どのくらいで変化が感じられるのか医師に相談してみるといいでしょう。
エクソソーム療法の再生医療で期待される効果を解説
エクソソーム療法は美容分野にとどまらず、再生医療や健康維持の領域でも注目を集めています。
ここでは、エクソソーム療法に期待される主な疾患や、がん・認知症との関わりについて紹介します。
エクソソーム療法が行われている疾患と効果
エクソソームには、細胞の修復や再生を促す成分(成長因子・サイトカインなど)が含まれているため、以下のようにさまざまな分野で研究が行われています。
ただし、これらの疾患に対する応用は現在も研究段階です。安全性や有効性に関する知見が積み重なることで適用範囲が広がっていく見込みです。
エクソソームはがんを悪化させる?がん治療での注意点
エクソソームとがんの関係については研究が進められている分野です。
エクソソームは、細胞の再生や活性化を促す働きがありますが、この作用はがん細胞にも影響を与える可能性があります。研究では、エクソソームががん細胞の増殖や転移を促進する可能性が報告されており、日本再生医療学会でもエクソソーム治療に関する適正な運用とガイドライン整備の必要性が議論されています。
このため、がんの既往歴がある方や治療中の方はエクソソーム療法を避けることが推奨されます。エクソソーム治療を検討する際は必ず医師に相談し、自身の病歴を正確に伝えることが重要です。
現在、エクソソームはがんの診断や治療法の開発においても研究が進められており、血液中のエクソソームを解析してがんを早期発見する技術や、がん細胞の転移メカニズムを解明して新たな治療法を開発する研究などが、大学や研究機関で行われています。
ただし、これらは研究段階であり、一般のクリニックで受けられるエクソソーム治療とは目的や内容が異なります。
血液内のエクソソームをバイオマーカーとしたがん診断法の開発、エクソソーム研究でがん転移のメカニズム解明に挑む(東京工業大学)
がん細胞をはじめとする種々のエクソソーム分泌の新たな機序解明(国立がん研究センター)
エクソソームの認知症への可能性
「認知症を予防したい」「アルツハイマーの症状を改善できないか」という期待に応えるため、エクソソームの研究が世界中で進められています。
アルツハイマー型認知症では、脳に「アミロイドベータ」という異常なタンパク質がたまることが発症に関わると考えられています。エクソソームにはアミロイドベータと結びつき、脳内の免疫細胞に運んで分解させる働きがあり、この作用によって脳にたまるアミロイドベータの量を減らせる可能性が報告されています。
北海道大学の研究では、アルツハイマー病モデルマウスにエクソソームを投与した結果、脳内アミロイドベータ濃度の低下と記憶機能の改善が確認されています。
また、エクソソームには神経細胞を保護・修復する作用もあり、神経再生や認知機能の回復につながる可能性が指摘されています。動物実験では、エクソソーム投与後に学習能力や記憶力の向上が見られたという報告もあり、脳機能改善効果への期待が高まっています。
ただし、現時点ではこれらの研究の多くが動物実験または初期の臨床段階にとどまっており、人への有効性や安全性はまだ確立されていません。今後の臨床研究の進展によって認知症治療としての実用化が期待されます。
認知症の症状に対してエクソソーム療法を検討する場合、現時点では研究段階であることを理解した上で、医師とよく相談して慎重に判断することが大切です。
エクソソーム治療に副作用・デメリットはある?
エクソソーム治療は比較的安全性が高い治療法とされていますが、体質や状況によっては副作用が生じる可能性があるため、治療を検討する際には、起こりうる副作用やリスクを事前に理解しておくことが大切です。
ここでは、エクソソーム治療の副作用・デメリットについて解説するので、確認しておきましょう。
エクソソーム点滴・注射で起こりうる副作用
エクソソーム治療は比較的新しい治療法であるため、副作用の発生頻度などの詳細なデータは明らかになっていませんが、現時点で報告されている主な副作用は以下の通りです。
| 副作用の種類 | 頻度 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 注入部位の症状 | 比較的よくある | 赤み、腫れ、痛み、内出血、熱感、かゆみ |
| アレルギー反応 | 稀 | 発疹、皮膚のかゆみ、蕁麻疹 |
| アナフィラキシー反応 | 極めて稀 | 嘔吐、腹痛、血圧低下、呼吸困難、意識低下 |
注入部位の症状は多くの場合、数日以内に自然に治まりますが、腫れや痛みが長く続く場合や強くなる場合は速やかに医師に相談してください。
エクソソームはヒト由来の成分のため、アレルギー反応は極めて稀とされていますが、体質によっては起こる可能性があります。過去に薬剤や食品でアレルギーを経験したことがある方は事前に必ず医師に伝えておきましょう。
アナフィラキシー反応は非常に稀なケースですが、点滴中・点滴後や注射の後に少しでも異変を感じた場合は速やかに医師に伝えることが重要です。
副作用について不安がある方は、カウンセリング時に詳しく確認してください。クリニックによって、使用するエクソソームの種類や濃度が異なるため、具体的なリスクについても事前に確認しておくとよいでしょう。
エクソソーム治療を受けられない人はいる?
エクソソーム治療は誰でも受けられるわけではありません。体質や状況によっては治療を受けられない場合や、慎重な判断が必要なケースがあります。
エクソソーム治療を受ける前には、医師から副作用やリスク、費用、アフターケアなどについて十分な説明を受け、不明な点や不安な点は質問し、納得した上で治療を受けるか判断するようにしましょう。
エクソソームは効果なし?科学的根拠(エビデンス)はあるのか解説
「エクソソーム治療は効果なし」といわれることもあり、科学的根拠(エビデンス)があるのか疑問に思う方もいるでしょう。
ここではエクソソームの科学的根拠や現状について客観的に解説します。
エクソソームには科学的根拠(エビデンス)や規制はある?
エクソソームには、成長因子・マイクロRNAといった成分が含まれており、細胞同士の情報伝達に重要な役割を担っています。これらの成分は「エクソソームの働きと役割を解説」で説明したように、組織の修復を促したり、遺伝子発現を調節したりする作用があります。
細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(日本再生医療学会)によると、海外ではエクソソームの臨床研究が急速に進んでいます。
- アメリカの臨床試験登録サイトには、2023年10月時点で93件の臨床試験が登録
- COVID-19の炎症抑制、1型糖尿病、網膜色素変性症などへの応用が研究されている
- 学術論文数は2022年に2,500件を超え、急増している
- アメリカの市場規模は2022年時点で約2億米ドル → 2035年には約45億米ドルに達すると予測
世界的に見て、エクソソームは研究分野としての期待が非常に高まっているといっていいでしょう。
しかし一方で、日本ではエクソソーム治療はまだ研究段階にあり、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありません。医薬品としての有効性・安全性の科学的根拠(エビデンス)はまだ確立されていないのが現状で、以下のような課題があります。
- 薬事承認を得た医薬品はまだ存在しない
- 法的な規制対象外で、審査がない
- 品質管理や製造基準がクリニックごとに大きく異なる
- 法規制や品質基準が統一されていない
エクソソームは「幹細胞」そのものではなく、幹細胞が分泌する微小な小胞(分泌物)のため、再生医療等安全性確保法で規制されず、現時点では法的に明確な規制対象外となっています。
日本再生医療学会は、エクソソームの品質管理・リスク管理・製造プロセスの明確化といった点を医療機関に求めていますが、法的拘束力もなく、実効性には課題があります。
エクソソーム治療の厚生労働省未承認の危険性について
エクソソーム治療は現時点で厚生労働省の承認を受けていないため、クリニック選びには注意が必要です。
厚生労働省は2024年7月に「幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について」という通知を出し、「実施する医師・歯科医師の責任のもと、特にその安全性について留意する必要がある」と明記しています。
医薬品であれば厳格な製造管理基準(GMP)に基づいて製造されますが、エクソソーム治療には統一された基準がなく、以下のようなリスクがあります。
- 製造環境が不衛生な場合、細菌やウイルスの混入リスクがある
- 製造工程が不透明な場合、品質にばらつきが生じる
- 副作用が起きた場合、医薬品副作用被害救済制度による補償が受けられない
実際に、2023年には幹細胞培養上清液の投与による患者の死亡事例が報告されており、専門家からは品質管理が不十分な製剤の使用が原因である可能性が指摘されています。
このようなリスクを避けるためには、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。クリニック選びのポイントについては、「エクソソーム治療はどこで受けられる?病院・クリニックの選び方」で詳しく解説しています。
エクソソーム配合化粧品の効果と注意点
近年、エクソソーム配合を謳う化粧品や美容液が市販され、SNSや口コミサイトでも注目を集めています。「肌のハリが出た」「キメが整った」といった感想がある一方で、「変化をあまり感じない」という口コミも見られます。また、芸能人や美容系インフルエンサーの間でも話題となり、エクソソーム配合コスメを愛用していると紹介するケースも増えています。
ここでは、市販のエクソソーム化粧品にはどのような特徴や注意点があるのかを解説します。
エクソソーム配合の美容液を塗る・パックも効果あり?
現在、エクソソーム配合の美容液やパックは多く市販されていますが、効果を期待する声がある一方で、下記のような問題点があります。
エクソソームは非常に小さな粒子ですが、皮膚には角質層というバリア機能があり、外部から物質が侵入しにくい構造になっています。そのため、エクソソーム配合の美容液などの化粧品を肌に塗る、パックする場合、体内に投与する場合と同じような効果が得られるかは不明確です。
また、市販の化粧品とクリニックでのエクソソーム治療には、品質管理や投与方法の面で大きな違いがあるため、エクソソーム配合の美容液やパックを使用する際には、一般的なスキンケア製品として捉えることが適切でしょう。
エクソソーム化粧品は再生医療?市販品の注意点
「エクソソーム配合」と書かれた化粧品を見かけて、クリニックと同じ効果が期待できると思う方もいるかもしれませんが、市販の化粧品とクリニックでの治療には大きな違いがあります。
エクソソーム配合化粧品もクリニックでのエクソソーム治療も、法律上は「再生医療」には該当しないため、医薬品のような厳格な製造基準や品質検査が義務付けられていないことを理解しておく必要があります。
市販の化粧品とクリニックでのエクソソーム治療には、以下のような違いがあります。
とくに注目すべきは「保管方法」の違いです。エクソソームは温度にとても敏感な物質で、研究によると常温で10日間保管するだけで超低温保存した場合と比べて含まれるタンパク質やRNAなどが大幅に減少することが報告されています。
市販の化粧品は製造から店頭に並ぶまで常温で流通するため、パッケージに「エクソソーム配合」と書いてあっても実際には成分の働きが弱まっている可能性があります。
美容目的でエクソソームの効果を期待する場合は、品質管理が整った病院やクリニックでのエクソソーム治療を検討するとよいでしょう。
エクソソーム点滴・注射の料金相場を紹介
エクソソーム治療を検討する際に気になるのが料金でしょう。
ここではエクソソーム点滴・注射の保険適用や料金相場について紹介します。
エクソソーム治療は保険適用される?
エクソソーム治療は、現時点では保険適用外の自由診療となり、治療費は全額自己負担です。
エクソソーム治療は現在も研究が進められている分野であり、現時点では厚生労働省から承認されていない治療法のため、公的医療保険の適用対象外になります。また、医療費控除においても対象外です。
エクソソーム治療は自由診療のため、クリニックごとに料金設定が異なり、同じエクソソーム治療でも価格に大きな差があります。エクソソーム治療を受けたい方は、料金をはじめ、使用するエクソソームの品質や安全性、クリニックの実績などを総合的に判断することが大切です。
エクソソーム点滴・注射は一回いくら?
エクソソーム点滴・注射の料金は、エクソソームの由来や濃度、クリニックによって異なりますが、エクソソーム治療の一般的な相場は以下の通りです。
| エクソソーム投与方法 | 1回あたりの料金相場 |
|---|---|
| エクソソーム点滴 (全身にアプローチ) |
3万円〜10万円 |
| エクソソーム注射 (局所にアプローチ) |
4万円〜9万円 (部位により異なる) |
美容目的のエクソソーム治療は、肌質改善やシワ・たるみの改善を目的としています。
点滴は1回あたり3〜10万円、注射は顔や首などの局所的な施術で4〜9万円程度が相場です。注射の場合、顔全体への施術では10万円前後になることもあります。
| エクソソーム投与方法 | 1回あたりの料金相場 |
|---|---|
| エクソソーム注射 (頭皮注入) |
5万円〜14万円 (使用量により異なる) |
AGA・薄毛治療目的のエクソソーム注射は頭皮に直接注入する方法で、発毛促進効果が期待できます。1回あたり5〜14万円程度が相場で、使用するエクソソームの由来や濃度、量によって料金が変動し、2cc〜6cc程度が標準的な使用量となります。
なお、美容・AGA治療のどちらにおいても、高濃度のエクソソームや臍帯由来の幹細胞培養上清液を使用する場合、1回20万円以上と高額になる場合もあります。
相場よりも極端に安いクリニックでは、由来や製造工程が不明確なエクソソームを使用している可能性もあるため、注意するようにしましょう。
クリニックによってはコース料金や回数割引を設定しているところもあるので、継続して治療を受けたい方は確認してみてください。
エクソソーム治療はどこで受けられる?病院・クリニックの選び方
エクソソーム治療は美容皮膚科や美容外科、AGA専門クリニックなどで受けられますが、クリニックによって使用するエクソソームの品質や料金、治療方針が大きく異なります。ここではエクソソーム治療を受けるクリニックを選ぶ際の重要なポイントについて解説します。
エクソソームの由来と品質についてチェック!
エクソソーム治療を受ける際、使用されるエクソソームの由来と品質は治療効果や安全性に関わる重要な要素です。クリニック選びの際には、以下のポイントを確認しましょう。
- エクソソームの由来(脂肪・臍帯・歯髄など)は明示されているか
- 国内製か海外製か、製造元は明確か
- エクソソームの濃度や純度についての説明はあるか
エクソソームはヒトの幹細胞を培養して得られたもので、主な由来については「エクソソームに種類はある?由来とは何?」でも説明しましたが、脂肪由来・臍帯由来・歯髄由来などがあり、それぞれ含まれる成分や期待される作用に違いがあります。
海外製のエクソソームが必ずしも劣るわけではありませんが、カウンセリングの際には、製造元がはっきりしているか、どのような製品を使用しているか、エクソソームの由来や濃度、製造元など、使用するエクソソームの製造元や品質について十分に説明してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。
クリニックの品質管理体制や実績をチェック!
エクソソーム治療の効果と安全性は、クリニックの管理体制や実績に大きく左右されます。治療を受けるクリニックを選ぶ際には、以下のポイントに注目して総合的に判断することが重要です。
- 治療実績や症例数は確認できるか
- 医師の専門分野やこれまでの実績が確認できるか
- 衛生管理やエクソソームの保管体制について説明があるか
エクソソーム治療はまだ新しい治療法のため、クリニックによって治療経験に差があります。公式サイトや口コミで症例数や治療実績を確認し、経験のあるクリニックを選ぶとよいでしょう。
担当医師の専門分野やこれまでの治療経験についても、カウンセリング時に確認してみてください。美容皮膚科やAGA治療の専門医、再生医療や幹細胞治療に精通した医師が在籍しているクリニックならエクソソーム治療についても専門的な知識やアドバイスを受けられる可能性が高いでしょう。
また、エクソソームは温度管理が重要です。前述のとおり、適切な温度で保管されていないと効果が低下する恐れがあるため、衛生管理が徹底されているか、施術時の感染症対策は十分かどうかなど、クリニックの保管体制についても確認しておくとよいでしょう。
エクソソームについてのよくある質問
エクソソーム治療に関するよくある疑問を解説します。
エクソソームはAmazon・楽天などの通販で購入できる?
結論から言うと、医療用のエクソソームはAmazonや楽天などの一般的な通販サイトでは購入できません。市販されている「エクソソーム配合」と表示された化粧品や美容液は、医療用とは濃度や品質管理の基準が大きく異なり、製造過程も明確ではありません。
エクソソーム治療は医療行為に該当するため、自己判断でエクソソームを入手・使用することはできません。エクソソーム治療は必ず信頼性や実績のある医療機関で受けるようにしてください。
エクソソームはエイジングケアに期待できる?
クリニックで受けるエクソソーム治療は、美容や医療の分野でエイジングケアを目的として取り入れられています。エクソソームに含まれる成長因子やマイクロRNAが細胞の活性化や組織の修復を促すと考えられているためです。
美容医療におけるエクソソーム治療では、肌の再生を促す作用やハリ・弾力の向上、小じわやたるみへのアプローチなどが期待されています。また、頭皮への施術では毛髪の成長をサポートする成分が含まれており、薄毛・AGA治療の選択肢の一つとして提案されることもあります。
ただし、エクソソーム治療はまだ新しい治療法であり、長期的な効果については研究が進められている段階です。治療を検討する際は医師から十分な説明を受け、期待できる効果や治療の目的を明確にしたうえで判断することが大切です。
エクソソームは何回くらいやれば効果がありますか?
エクソソーム治療の回数については現時点で明確な基準は確立されていません。必要な施術回数は、使用するエクソソームの種類や濃度、治療の目的、個人の体質や状態によって大きく異なります。
美容目的の場合、クリニックによっては1~2週おきに点滴や注射を受け、3〜5回程度継続することが多いようです。肌の状態やエイジングケアの効果を確認しながら医師と相談して頻度を調整していくとよいでしょう。
薄毛・AGA治療を目的とした場合は、月1回の注入治療を6~8回程度継続するのが一般的です。発毛の状態を確認し、必要に応じて追加の施術を検討することもあります。
いずれの場合も、施術回数は治療の目的や悩みの程度によっても異なります。カウンセリング時に自分の目的や期待する効果を医師に伝え、個別に計画を立てることが重要です。
効果を実感するまでの期間について知りたい方は、「エクソソーム治療の効果はいつから?実感するまでの期間の目安」を確認してみてください。
エクソソームは、私たちの体内の細胞から分泌される物質で、細胞間で情報を伝達し、組織の修復や再生を促す働きがあるとされています。エクソソーム点滴・注射による治療法は、美容医療や再生医療の分野で注目されており、肌のエイジングケアや薄毛治療、組織の修復などへの効果が期待されています。
エクソソーム治療はまだ新しい治療法で、現時点では厚生労働省の承認を受けていないため、クリニックによって使用するエクソソームの品質や管理体制が異なります。治療を受ける際は、エクソソームの由来や製造過程、医師の専門性、衛生管理体制などを確認することが重要です。
信頼できる病院やクリニックを選び、医師とよく相談した上で治療を受けるようにしましょう。